ビジネス

RHODIA

最近、都心からやや離れたロケーションにあるクライアント先で仕事をすることが多いのですが、移動の合間に考え事を書き取るためのメモ帳が欲しいと思い、ロディアの№11と専用のカバーを購入しました。

私は、アイデアが出るまで考え込むのではなく、アウトラインを整理した状態で一旦頭の片隅に避けておき、就寝前や入浴中など、ふとした時にアイデアを思い浮かべるような思考スタイルなので、移動中の時間は非常に貴重です。

今回手に入れたカバーは、トリムというメーカーのもので、英国製のブライドルレザーに水シボを型押ししています。カラーバリエーションは、ブラック、レッド、ブラウン、グリーンの4色が用意されていますが、私はグリーンを選びました。値段はやや張るものの、作りも非常に丁寧で、高級感があります。

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佐藤可士和の超整理術

「佐藤可士和の超整理術」を読みました。とりたてて彼のファンということではないのですが、あるTV番組で彼が著書について述べていたコメントが気になり、手に取りました。

本の中にも記述があるのですが、アートディレクターというと、どうしてもクリエイティブな側面に目が行きがちで、我々コンサルタントとは逆の右脳で考える人というイメージを持ってしまうのですが、そうではなく左脳で考える人種である、という内容に興味を持ったのです。

2時間もあれば読み終わる内容ですが、コンサルタントとしてトレーニングを受けた訳ではない人が、自分の実践や経験を通じて身に着けたロジカルシンキングの要諦を、独自のフレームワークで語っているところを面白く感じました。

特に共感を持ったのは、私が以前、「思考の壁とフレームワークの活用」や「知識 vs スキル」でお話した内容と同じように、知識(可士和さんの場合はアイデア)よりも情報を分析するスキルが重要で、分析の際にいかに客観的にフレームワーク(可士和さんの言葉では視点)を持ち込めるかがポイントだ、ということを主張している点です。

また、彼自身も言っていますが、アートディレクターは、企業の戦略をコミュニケーション媒体に乗せて表現しているのであり、手段が異なるだけで、やっていることはコンサルタントそのものです。そう考えると、クライアントの課題を顕在化し、メッセージを整理するところに価値があり、最終的なロゴやビジュアルはどうでもいいのかもしれません。

どうでもいいというと語弊がありますが、消費者に伝えるメッセージが明確になり、そのロゴやビジュアルにこめられた想いが論理的に説明できるようになることに価値があるのであり、ロゴやビジュアルはその副産物であるという見方もできるのではないかということです(極端な話、メッセージが明確であれば、あとは趣味の世界)。

我々コンサルタントにとっても、成果物である報告書自体に価値があるわけではなく、積み重ねた議論や一連のプロセスによって、関係者が共有できた想いや明確化された戦略の方が重要だからです。

コンサルタントに求められる能力③

しばらく間が空いてしまいましたが、今回は以前ご紹介したフレーワークから、インプット力の中のインタビュー/アンケート力について、お話ししたいと思います。

前回同様に、私がこれまでに読んだことのある書籍を紹介すると、ざっと以下のとおりとなります。


アンケート調査の技術的な進め方や統計学的な分析手法等については、これらの書籍を参考にしていただければ、十分必要な能力を身につけることができると思います。そこで、ここではインタビュー力について、話をしていきたいと思います。そのために、インタビュー力をさらに分解し、「事前準備」「聞く姿勢」「理解する力」の三つの要素から構成されるものと定義します。

まず、事前準備とは、相手についての基礎的な情報を収集したり、あらかじめ仮説を設定した上で、質問事項を整理し、インタビューの進め方をデザインする、といったことです。これらの準備が非常に重要であることは、論を待ちませんし、前述の書籍の中でもそうしたことの重要性が指摘されています。

そもそも、相手に貴重な時間を割いていただいて話を伺うのに、何の準備もなく手ぶらでお会いするというのは言語道断です。また、インタビューを行う側としても、限られた時間を有効に活用し、効率的に得たい情報にたどり着くためには、事前準備を入念に行うことは必要不可欠です。

次に、聞く姿勢ですが、これは文字通り、相手の話を聞く際の態度や心構えなどのことです。私は、これが一番難しいスキルだと思っています。ものの本には、自分が話すのではなく、相手の話をひたすら聞くこと、などと書いてありますが、それほど単純ではありません。

インタビューは、相手があってのことですので、相手に気持ちよく話をしてもらう必要がありますし、こちらもできるだけ本音を聞かせてほしいという思いがあります。そのためには、人と人が意思疎通を図る上で、どれだけ共感を持てるか、どれだけ信頼関係を醸成できるか、ということが非常に重要になります。つきつめていくと、先に紹介した「プロカウンセラーの聞く技術」のように、心理学や臨床学といった世界に足を踏み込むことになります。私自身もこの部分に関しては、まだまだ修行中です。

最後に、理解する力については、相手の話している内容をどれだけ的確に理解し、把握することができるか、という能力です。ジュニア・コンサルタントとシニア・コンサルタントの間で差がつきやすいのは、この部分ではないかと思います。

先の聞く姿勢にもかかわってくるのですが、若手はクライアントの質問や問いかけにできるだけ答えを提示しようとします。一生懸命自分の知識を示すことで、バリューを示そうとするのです。勿論、それは間違いではありませんが、以前「知識 vs スキル」の回で話ししたとおり、知識を示すことには限界があります。

一方、シニアはどのように対応しているかというと、かならずしも相手の問いかけに直接応えている訳ではありません。むしろ、議論を俯瞰した上で、こんな観点から考えることもできるのではないか、あなたの言いたいことはこういうことだ、という形で議論をファシリテーションしていきます。こうした人と議論をすると、相手は頭の中が整理されるため、そのことがバリューにつながるのです。

このような能力を身に付けるためには、論理的思考力が不可欠です。ライティングやプレゼンテーションのようにこちらから情報を発信するのであれば、こちらのペースでできますが、インタビューは相手のペースで進みますので、その分だけ難易度が高いといえます。話の断片からどのような全体像について議論しようとしているのか、そこに抜け漏れはないのか、因果関係に矛盾はないのか、話を抽象化すると結局どういうことなのか、といったことを、相手が話している間に瞬時に考えていかなければならないのです。

難しい話のように聞こえますが、コンサルタントとして基礎的なスキルが備わっていれば、このようなことを意識しているだけで随分変わってくると思いますので、是非頭の片隅において実践してみてください。

コンサルタントに求められる能力②

前回より開始した連載企画ですが、今回は、いきなり順番を無視して「プレゼンテーション力」について話をしていきたいと思います。

参考までに、私が過去に読んだことのあるプレゼンテーション関連の書籍には、次の三冊があります。

これらの書籍に書かれている内容をおおざっぱに整理すると、相手の立場にたってメッセージをまとめ、念入りにリハーサルを行い、言葉以外の要素も駆使しながら場の雰囲気を作ってコミュニケーションを図る、というようなことです。さまざまなテクニックや留意点なども紹介されています。

こうした内容は大いに参考になりますが、ここでは私がメンバーのプレゼンテーションを見ていて、不足していると思う点、ここを改善すればもっと良くなるという点を、もう少し具体的に話していきたいと思います。

まず、決定的に不足しているのが、プレゼンテーションで伝えるメッセージが整理された形で頭に入っていない、ということです。ひどい場合は、スライドをたどたどしく読み上げる、もう少しましな場合でも、内容が頭に入っていないスライドに来ると、突然言葉が止まってしまう、というような場面に遭遇することがあります。

プレゼンテーションは、相手に何かを伝える行為ですが、こちらから一方的に伝えるのではなく、相手の関心を意識した上でメッセージを組み立てていかなければ、ろくに聞いてもらえません。そのために、スライドを使って、伝えたいことを論理的な順序で組み立てているのですが、いつの間にか手段と目的が逆転してしまい、スライドを説明することが目的化しているケースによく遭遇します。

そうならないためには、事前にスライドの中身を頭に入れておいた上で、相手の反応や残り時間を見ながら臨機応変に話をしていく必要があります。ドラマの撮影に台本は必要ですが、本番で台本を片手に棒読みしていく役者はいません。プレゼンテーションも同じです。当日までにストーリーを頭にたたき込み、あとはアドリブも含めながら話をしていかなければなりません。逆に言うと、入念な準備ができていれば、精神的な余裕が生まれ、相手の態度や反応に目を向けることができ、臨機応変な対応が可能になるのです。

次に、プレゼンが不慣れな人の特徴に、不要な言葉や曖昧なこそあど言葉が多いという点があげられます。説明と説明の間にやたらと、「えー」「あのー」といった言葉をはさんでしまったり、「それがこうなると」「さきほどのあれが」というように指示代名詞を多用してしまう、といったケースです。

これは一種の癖で、本人には自覚がないことが多く、なかなか直すのが難しいため、多少は目をつむるようにしているのですが、あまりに度が過ぎると苦痛に感じます。相手にこちらの話を理解してもらうためには、まず話を聞いてもらう必要があり、そのためには、最低限のマナーを守り、聞きやすい話し方を心がけるのが礼儀です。

プレゼンテーションは実践する機会が限られているので、スキルを向上させるのが難しい部分もありますが、数少ないチャンスを得た時には、是非お話ししたような点を意識しながら取り組んでいただくことをお薦めします。

コンサルタントに求められる能力①

今回から、私がコンサルタントの現場でメンバーの指導をしている際に、伝えていることや思うことを何回かに分けて整理してみたいと思います。

まずは、コンサルタントに必要な能力には、そもそもどのようなものがあるかを整理したいと思います。

情報を集め、考え、表現するというコンサルティングワークの側面から整理すると、以下のような感じのフレームワークを定義することができそうです。

●インプット力

 -情報収集力:文献やWeb等の二次情報にアクセスし、必要な情報を収集、整理する力

 -インタビュー/アンケート力:インタビューやアンケート等の手段を通じて、必要な情報を収集、整理する力

●思考力

 -論理的思考力:インプットを元に論理的に物事を考える力

 -創造的思考力:インプットを元に創造的に物事を考える力

●アウトプット力

 -ドキュメンテーション力:考えた結果を文書や資料としてとりまとめる力

 -プレゼンテーション力:考えた結果をプレゼンテーションを通じて表現する力

もちろんこれ以外にも、以前お話したような専門知識が必要になったり、職位に応じてプロジェクトマネジメント力やビジネス開拓力も求められてきますが、それは別に議論させていただくことにして、ここではジュニアコンサルタントに求められるベーシックな能力という観点で整理しています。

必ずしも上から順にとはいきませんが、次回以降、私が過去に読んで参考になった書籍等も紹介しながら、話をしていきたいと思います。

転職のメリット

転職経験のある方は、転職してよかったことは何ですか、と聞かれたらどのように答えますか。

私は、迷わず自分のキャリアをデザインできるようになったこと、と答えます。そして、キャリアをデザインできるようになったのには、二つの理由があります。

一つは、転職することで、キャリアに責任を負う代わりに、自由を手に入れることができたからです。転職するまでは、会社の中で用意されたキャリアパスを、レールの上を走るがごとく進んでいくだけでした。アサインされる仕事の内容や所属について、ある程度は希望や意志を伝えることもできますが、基本的には上司の意志で決定され、自由度は決して高くありません。

ところが、転職という選択肢を持つことによって、そういった束縛から解放され、自分で自分の進む道を決めることができるようになりました。あらかじめ用意されたキャリアパスではない分だけ、リスクは高くなりますが、自分のやりたいようにデザインできます。途中下車をしようが、そこから飛行機に乗り換えようが、自己責任の下で好きなようにできるのです。

もう一つの理由ですが、それはコンサルタントという職業を選んだからです。以前もお話ししたとおり、コンサルタントという職業は、職位ごとの役割やスキルなどが業界内である程度標準化されています。そのため、キャリアをデザインするにあたって、どの位の期間でどのようなスキルを身につけ、どのようなポジションにつくことを目標にすればよいかを明確にしやすいのです。

さらに、そのような共通的な枠組みがあるので、業界内であれば比較的スムーズに別のファームに転職することができ、より取り組みたい分野や高めたい専門性にフォーカスし、キャリアアップしていくことが可能です。

このように書くと、転職はバラ色の世界のようですが、個人的には安易な転職には賛成できません。最近は、新卒者のうち3年以内で転職する人の割合が3割を超えるという話もありますが、とてもすべての人が積極的な理由で転職しているとは思えません。転職を検討されている方は、まず自分がどうありたいかのキャリアを描き、そのキャリアを実現していくために、転職によって手に入るものと失うものをきちんと比較した上で、決意されることをおすすめします。

知識 vs スキル

コンサルタントに求められる要素は、大きく知識とスキルに大別することができます。

知識には、財務会計やIT、生産管理、マーケティングなどの業務に関する知識や業界動向などの知識などがあります。スキルとは、インタビューやコミュニケーション、ロジカルシンキング、プレゼンテーション等、コンサルタントが仕事をこなす上でベースになる能力です。

もちろん、これらの両方をバランスよく兼ね備えることが大切なのですが、どちらか一方を選択しなければならないとしたら、どちらを選ぶのがよいのでしょうか。

答えは、指向するコンサルティングの方向性や、どのようなテーマを取り扱うコンサルタントを目指すかによって異なるのも事実ですが、どちらかと言われれば、私は迷わずスキルを選択します。

コンサルタントになりたての人を見ていると、自分がクライアントより豊富な知識や専門性を持つことで、気の利いた発言をしたり、クライアントへの気づきを与えることができるようになり、それがバリューにつながる、と考えているケースが多いように思います。

確かに、クライアントの発言を理解できないようでは困りますが、ある分野でしかもその企業の独自のカルチャーの中で、何年間も仕事を行ってきたクライアントに勝る専門性を発揮するのは、容易ではありません。

また、知識はすぐに陳腐化するため、常に新しい情報をインプットしていく必要があります。インターネットが普及する以前であれば、クライアントより幅広い情報にアクセスできることが優位性につながりましたが、現在はコンサルタントが入手できる情報とクライアントが入手できる情報の差は縮小しています。そのような中でバリューを発揮していくのは容易ではありません。

一方、スキルに目を向けてみるとどうでしょうか。たとえ、テーマは異なっていたとしても、表層的な問題点から真の原因を見つけ出し、それらに対する対策を想起、優先順位付けした上で実行計画に落とし込んでいく、という一連の作業を円滑にこなすためのスキルを持っていれば、ある程度のレベルで作業を進めていくことができます。

このことは、優秀な経営者を見れば明らかです。経営者には、技術系の出身者や営業系の出身者など、様々なキャリアパスやバックグラウンドを持った方がいます。しかしながら、たとえ技術系の出身者であっても営業に関する意志決定を行う必要があり、営業系の出身者であって技術に関する意志決定を行わなければなりません。

優秀な経営者は、すべての分野に精通した知識を持っているのかというとそんなことはありません。出身分野には詳しいでしょうが、不案内な分野もあります。にもかかわらず、彼らが適切な意志決定をできるのはなぜでしょうか。

私は、彼らが意志決定に求められる卓越したスキルを持っているからだと考えます。意志決定に必要な情報が何かを見極め、それらの情報を集めたり、人の意見を聞くことができれば、適切な意志決定はかなりの確度でできると思います。

また、経営者の方々と話をしていると、物事を抽象化したり、本質を見抜く力にしばしば感心させられます。たとえ自分の専門分野でない話であっても、物事の本質を見抜けるのは、決して知識に依存せず、本質を見抜くために必要なスキルを兼ね備えているからです。

さらに、スキルは汎用的で陳腐化しません。一度身につければ、一生使い続けることができるのです。

このような理由から、私は知識よりも、スキルを身につけ、磨くことを意識しています。

成長の秘訣

皆さんは、自分が成長するために何か心がけていることがあるでしょうか。

私は、自分の数年後のポジションにいる人とベンチマークするということを常に意識しています。

事業会社にいたころは、意識していたというよりは、単に自分の先輩を見て、早くああいう風になりたいという、あこがれに近いところからスタートしたのですが、だんだんと自分は先輩と比べてどのようなことができていないのか、何が不足しているのかを比較し、それを身につけるために何をすればよいかということを考えるようになりました。

そして、コンサルタントになってからは、これをかなり意識的に行うようになりました。コンサルタントの職位と身につけるべきスキルや能力は業界標準に近いものがあり、ファームによって多少名称が異なっても、役割や要求されるものはほぼ同じであるため、ベンチマークが行いやすいのです。

例えば、ジュニアコンサルタントの責任は、与えられたパートのアウトプットをきっちり作成することです。そのために、インタビュー調査や文献調査などを行いながら、ファクトを集め、分析を行うことが主な役割になります。マネージャー層になると、プロジェクトの遂行責任を負い、クライアントの期待をコントロールしつつ、アウトプット全体のストーリーを組み立てながら、メンバーに作業指示を行うことが役割になります。そして、パートナーやプリシンパルというシニア層になると、売上や利益に責任を負い、クライアントとのリレーション維持や新規顧客の開拓などが主な役割になっていきます。

このように、役割や必要なスキルが明確に定義されているというのは、自分が成長するために非常にプラスになります。例えば、ジュニアコンサルタントがマネージャーになるためには、どのようなスキルを身につければよいか、また一緒に仕事をしているマネージャーと比較して、自分に足りない部分は何かがすぐに分かるからです。

若いうちはがむしゃらに頑張っているだけでも、どんどん成長していきますが、次第に壁のようなものにぶつかることがあると思います。そのような時には、冷静にベンチマークをしながら自分に不足している点を見つけ出し、それを克服することで確実に次のステップに進めるようになるはずです。

思考の壁とフレームワークの活用

何か考え事をしているときに、何でこんなことに気づかなかったのだろう、というような見落としをしていたり、知らず知らずのうちにある枠の中で考えてしまっていた、などという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

そうしたことがなぜ起こるかというと、人は前提条件や一定のキーワードの狭い範囲の中でしか物事を考えられないからです。

思考には収束と発散があり、発散は思いつきでどんどんアイデアを出していく頭の使い方ですが、このときも、人は無意識にある枠の中で考えており、全く枠をはずした状態で考えている訳ではありません。

では、こうした思考の壁が存在することを前提としたときに、どのような思考方法を用いれば、上手く考えていくことができるのでしょうか。

私は、そこにはフレームワークの使い方の巧拙が深く関係してくると思っています。フレームワークが何であるかは、それを解説したサイトや書籍が巷にあふれていますので、ここでの説明は割愛します。いわゆる、3Cや4P、7Sなどといわれているものです。

人がある枠の中に偏って考えることしかできないとすれば、全くフレームワークを意識しないで考えたらどうなるでしょうか。そうです。最初にひらめいたことを中心に、散発的に思考を巡らせることになり、全体でとらえた時に見落としや漏れが発生する可能性が高くなります。

また、フレームワークを意識したとして、それが誤っている、または適切でないものであった場合はどうでしょうか。こちらも同じように抜け漏れが発生する可能性があるほか、ずれたことを考えてしまい、そこに無駄な時間を費やすことになってしまうでしょう。

我々コンサルタントがバリューを提供できるのは、こうしたフレームワークをクライアントより少しだけ上手く使うことができるからなのです(バリューを発揮するには、当事者でなく第三者であるという立場の違いも非常に重要なのですが、バリューという観点からの議論は別の機会に譲りたいと思います)。

クライアントから相談を受けたときに、コンサルタントは、どのような観点で分析を行うか、議論のスコープはどこに設定すればよいか、ということを考えます。

私が日々クライアントと接していて感じるのは、クライアントはある一定の思い込みや、見えている表層的な問題に意識が集中し、そこにとらわれたものの見方をしているケースが非常に多いということです。

そこで、私は、そこから一歩引いて、クライアントが考えているフレームワーク(クライアント自身はフレームワークを自覚していないケースも多々あります)よりも広いフレームワークを用いることで、クライアントが前提条件としていることから調べ直す必要がないかを考えます。例えば、自社と競合の関係について議論をしているクライアントに対して、もっとマクロの視点で外部環境を分析する必要がないか、というようにです。

このように、フレームワークを上手く使いこなすことで、人が苦手としている思考の弱点を補い、思考の壁を乗り越えていくことができるのです。

2018年10月
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